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2016.01.19(Tue):思いつくままに
深い緑の中から
登山鉄道は出てきて
靄のかかる緑の中に消えてゆく
一両編成の電車だ

私は高野山麓西駅で下車することにした
濃い緑の山と山に挟まれた駅だ
谷底に渓流があるのだろう
涼しい

小さなホームには屋根がある
柱だけ毒々しいほどの
赤で塗られ並んでいる

数人のご婦人の旅行客が
流石キューシンさんねえ
などと騒いで先に
小さな改札を出て行った

小さなホームの上を
背の高い色の白いのっぺりした
表情のない
駅員なのか
昭和の初めごろのような制服を着て
求心と筆書きの
漆塗りの背嚢を背負って歩いてゆく

ホームの板壁の宣伝も
すべて 求心 と書いてある

私は小さな古びた改札を出た

すぐに参道なのだろう
露店の並んだ坂道がある
お面売りの店の面はすべて
キツネの面である
白いキツネの顔である

他の露店は何を売っているのか
見ただけではわからない
店番のオヤジがニヤニヤしている

参道は静かだ
ただお囃子のような能楽のような
音が遠くから聞こえてくる
ここからでは
寺も社も見えない

参道の奥の方から何やら
土煙が舞い上がった

女の悲鳴が聞こえる
ものの壊れる音
男の怒鳴り声

近づいてくる
真っ黒い牛のような
大きな獣が数頭

地響きが間近まで来た
恐怖に駆られた
私はいま来た道を走った

狐の面を売る露店の前を過ぎると
ぴたりと静寂が戻った
後ろを振り返るのが怖かった
しかし獣の群れはもういないようだ

仕方なく駅に戻って電車を待つ
気が付くと雨が降っている
静かに静かに雨が降っている
雨の音だけが
濃緑の中に消えてゆく

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