2016.08.06(Sat):森に逃げたい
手を切らないように注意深く
パイのように薄い薄い
ガラスの板を
つかず離れず立ててゆく
何層も何層も

本日は壁を作るのが私のしごと

ガラス板の層を重ねることは
透過する光を純化させるため
純化した光しか届かないものがある
届かせなければならないところは
消えることのない心


風があってはガラスのしごとはできない
丘に登って遠くの街の煙突の煙を見る

ひねった綿菓子のように直立した煙は動かない
本日は風がない


今日中にそこの角まで仕上げてしまわねばならない

明日あたりもう一人ここにやってくる
泣くことは許されない
動揺は私の手元を狂わせる
ガラス板で指を切るくらい構わない
泣いてはいけない

私の命が終わるまでに
ここの森をガラスの壁で囲ってしまわなければならない
そんな気がした


夕方勤務が終わったら
砂浜を散歩しよう
青い喪服を脱いで
白いシャツの第一ボタンをはずして
今日は波がヒタリとも打たないはずだ
風がない日は時間も流れないのだ

美しい貝を拾おう


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