2016.09.28(Wed):森に逃げたい

僕の友人はよくこんな夢を見たそうです
その友人はもういません

せっかく東京の郊外に一戸建てを買って
奥さんのおなかには初めての子供が宿って
幸せの絶頂だったんですが
彼は体調を崩してしまって
残念なことをしました


広場


雑木林を散歩しているはずだった
ふと自分の体に違和感を覚えて
立ち止まりよくよくあらためてみると
僕は子供だと気が付く

ああそうだ僕は子供なんだ
大人の夢を見ていたんだ

雑木林の中に広場があって
知らない子供たちが遊んでいる
僕もその仲間に入れてもらって遊ぶ



坂道


広場の奥には細い小道がある
その小道は入るとすぐに急坂になっている
なっていると言うより
坂になっているらしいと言ったほうが正しい
小道には絶対入ってはいけないと大人に言われている
そんな気がした

だから誰もこの小道の先がどうなっているかを知っている子はいないはずだ

それを承知で僕は小道に入っていった
遊んでいる他の子たちは誰も僕を止めなかった

道幅は人一人がやっと通れる程度で思ったよりも急な下り坂だった
意外にも舗装のまね事のようにコンクリートを均してあたたので歩きやすかった

しばらく下ると急なカーブになっていて先がどうなっているのかわからない
少し怖かった
勇気を出してさらに進むとまた急なカーブがある
森が深くなっているようで薄暗くカーブの先はさらに不安に暗い

足どりはだんだん遅くなっていく
もう戻ろうかと思い始めたころ
視界が開けてきた
線路だ
右から山を回り込んでカーブしている

小道は線路に出たところで終わっていた
僕は線路脇に立った
ほっとした気分だった
別に怖いところに続く道ではなかったんだと思った



列車


線路の向こう側に人がいた
おばあさんだった
ニコニコして手招きしている
何かくれるような気がして

僕は線路を渡った
つもりだった

こんもりとした森のカーブから特急列車が現れた

小動物にぶつかったような音がして
運転手は列車を緊急停止した
車内アナウンスを車掌にまかせて運転席から線路に降り立った

えらいことになったな
子供だ・・・



夢から覚める


私は悪い夢から覚めたようだ
汗をたくさんかいている
人身事故の夢なんてしかも子供なんて・・・

せっかくの非番の朝なのに嫌な目覚めだ

ようやく長いローンを組んで郊外に買った戸建の
その寝室で私はぼんやりと夢のいやな後味を忘れようとしていた

あのガツン、ゴトンという全身に響く嫌な感触を消し去ろうとしていた



散歩に出る


あんな夢を見た後では食欲はない
朝食はいらないと妻に言い残して
散歩に出た

東京郊外のこの町も都市化が進んではいるが
私のうちの裏にはこんもりとした小山がまるまる公園として残されていた
公園といっても入口に数台の車が止められる駐車場とトイレがあるだけで
あとは雑木の里山だ
歩き出せば気持ちいい
つまらない夢のことは馬鹿馬鹿しいことだった
引っ越してきて良かったと思った



森の中の広場


雑木林をどこへ行くともなく歩いているうち

体に違和感を感じるようになった

立ち止まりよくよくあらためてみると
私は子供だと気が付く

ああそうだ私は子供なんだ
大人の夢を見ていたんだ

雑木林の中に広場があって
知らない子供たちが遊んでいる

仲間に入れてと声をかける
みんなは私を受け入れてくれた

広場の奥には小道があった
小道に入ってはいけないということは知っている
どうして知っているのだろうという疑問が脳裏をかすめたが
どうしても小道の奥に行ってみたいと思った




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